![]() 八戸市出身。現在、盛岡市玉山区在住。2003年1月 「80エンタープライズ,INC.」を設立 代表取締役に就任。馬事普及とコーチングを中心に事業を展開。自ら牧場を開墾し、ラジオではコーチング番組を担当するなど、笑顔と勇気をプロデュースする活動を精力的にこなしている。 >> 公式サイト「80エンタープライズ,INC.」 >> ブログ「八丸牧場、今日もワクワク馬く(うまく)いく!」 ぽかぽかと優しい陽の光がそそぐ岩手山の麓にある八丸牧場。そこでにっこりと笑顔で迎えてくれた八丸さん。優しさとたくましさを兼ね備えた八丸さんからは自分の夢に真っ直ぐに進んでいる力強さが伝わってきた。 |
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![]() ■ 小さい頃の夢は何ですか? 動物好きな父の影響で、家では様々な動物を飼っており、小さい頃から動物が好きだったので、将来はムツゴロウさんの牧場のスタッフか、それが駄目だったら警察犬訓練士、それが駄目だったらアシカの調教師となりたいものがいっぱいありました。 実際は一般企業に就職したのですが、やはり動物と一緒に働きたいという願いを捨てきれずに、入社早々転職活動していた折、就職先の関連企業で動物と関わる仕事の人材を募集しているのを発見し、すかさず応募して、やっと念願の仕事に就くことが出来たんです。 でも、後に私が所属する乗馬事業の廃止が決定し、共に働いてきた馬達の次なる行き先を決定しなければならなくなりました。次々と乗用馬の買い手・貰い手がつくなか、私が担当していた馬車馬だけが残ってしまい、「いよいよとなったら処分だな」と会社側は頭を悩ませておりました。 ずっと世話をしてきたし、友達のような存在である馬を処分するなんて事はとうてい考えられなかったので、自分が買い取ると決めました。でも、馬を買うためにはそれなりのお金が必要でした。そんな多額のお金は持ち合わせていないし、親からの協力も貰えず、上司からも「お前、何無茶な事を言ってるんだ?落ち着け」と言われました。 いよいよ馬たちの新天地を決める、最終締切りの日が刻々と近づき......、毎日"心ここに在らず"状態でしたね。色々な方に相談し、アドバイスを貰いに行く中で、ある方から「お金は無いかもしれないけど、なんとしてでも馬を手に入れるという強い想いがあるのだから、周りが呆れてあきらめるまで伝え続けてごらん」という言葉を頂いたのです。 そのアドバイスをくれた方も女性一人で小さな小屋で獣医さんを開業したばかりの凛としたすごく格好いい生き方をしている方でした。私は彼女をとても尊敬していたので、その言葉に勇気づけられ諦めずに上司に交渉し続け、ついには上司が折れて、馬を購入する事が出来たのです。 ![]() ■ 馬(ダイちゃん)を買ってすぐ独立されたのですか? 馬を買ったのはいいのですが、すぐに厩舎を出なければならなくて、行き先を探してた所、ある農場で馬車をひく若馬を探しているとの事で、ダイちゃんをそこに預ける事になりました。 もう、ただただダイちゃんが元気で、生きていたらそれでいい。他には何もいらないという思いでしたね。そこで2年程お世話になった頃に、以前一緒に働いていた先輩が自分で牧場を作るというお話があったので、立上げのスタッフとしてダイちゃんと共に先輩の牧場に就職しました。 私は"馬車の再開"を目標としていたので、それに向けてこの頃から動き始めたのですが、何も無い所からのスタートで、まず道具を揃える事から始まりました。馬車とハーネスを何とか揃えなければ、営業は不可能ですからね。 でも、馬車はもう日本では製造していませんから、輸入するかまたは中古の馬車を探すしかありません。業界紙をくまなく穴が開くほど調べました。あったとしてもとても高額で手が出ませんでした。ハーネスも随分古いものを、修理しながら騙しだまし使っていました。 ある時知人の紹介で、中古の馬車を紹介してもらい購入しました。相当な傷みがあったので、購入後、皆で修理しました。馬を購入してから馬車を手に入れるまで5年も掛かったんですよ。 それからは、自ら近所のイベントを調べ、主催者に電話して、馬車をイベントの隅で動かせないだろうか?と交渉したりして、何とか少しずつお金を貯めて、やっと自分の理想とする立派なハーネスを購入できました。 ■ 馬車の再開のイメージはどのようなものですか? 子供達が馬車をみている時の顔がとても印象的なんですね。また、その家族がそれを見て笑顔を浮かべるんですね。これはホントに素敵な仕事だなと思ったんです。馬を通して、子供達や人々が元気になったり楽しい気持ちになったりする事をやりたいのです。 岩手は昔は馬と縁の深い土地だったんですが、今はどこに行っても馬を見る事がなくて、馬の活躍の場が少ないのが現状です。馬にプラスして何か他の手段も合わせて、そういう笑顔が溢れる場所を作るムーブメントを起こしていきたいですね。 ![]() ■ 今までの道のりで挫折を感じたことは? ![]() うーーーん。出ないって事は無いんでしょうね。よく「大変ですよね」って言われるんですけど、そうした方から見れば大変にうつるかもしれないけど、私たちにとっては大変だと感じないんですよね。 ■ 壁にぶつかった事も無いのですか? 365日雨の日も雪の日も暑い日も、20~30頭近くもの馬小屋の掃除をして、馬のお世話をするという事を想像してもらえますか?それってすごい心を鍛えてくれるんですね。 単純なルーティンワークですが、ものすごく大変なルーティンワークで、疲れたから、気分が優れないから、二日酔いだから「今日は出来ない!」なんて、一切ありえないんですよ。寝坊も出来ないんです。そうした、何か日常の事ですごく心が鍛えられたんですよ。楽なことが一個もなかったので(普通の作業自体が)、大体のことはたいしたことがないように思えるんです。 ただ、デスクワーク中心の会社員から馬の仕事に移ったばかりの頃、最初は面白くすべてが新鮮で楽しかったのですが、でもそれにだんだん慣れて飽きてきて(そこまでは馬にのめり込んでいなかったから)だから、その頃が一番苦しかったですね。こんな事やっていて何になるんだろう、どんな将来に繋がるんだろう......と。 でも、その頃にダイちゃんにめぐり合えて、ダイちゃんの事が大好きになっていくので、そこからはへっちゃらになったんですけど、そこまでのめり込む前は多少は辛かったですね。 ![]() ■ 今までで嬉しかったことは? それはもうはっきりと覚えてます。2005年11月5日に盛岡市内で馬車運行を社会実験として果たすことができた時です。仲間がたくさん見に来てくれ、声をかけてくれ、写真をとってくれ... 長年胸に抱いて事が実現した最初の日です。 たくさんのマスコミの方に囲まれて、繁華街を運行するので、馬も私も緊張するかな~~~と思っていたのですが、もう楽しくて楽しくて、感無量でした。そして感謝の気持ちがすごく湧いてきましたね。 この機会を頂いた事で、オファーが少しずつくるようになりました。街興しの地域活性化専門集団の方などからお声を掛けていただくようになりました。それから4~5回は市内の中心市街地を馬車で運行する機会を頂きましたね。 ■ 人との繋がりが次のチャンスを与えてくれる大切なものですか? そうですね。人との出会いが機会や場を与えて下さって、それが次の場にまたつながる。こんな風に、仲間からサポートを受けたり、チャンスを頂いたり......。 これは、自分にとってホントに大きかったですね。私も実際に人との出会いによって夢の第一歩である社会実験に辿り着けましたので。 ■ 八丸さんの夢(=馬車の再開)を実現するのは難しいですか? 難しいか簡単かと聞かれたら難しいかもしれないのですが、不可能ではないと考えています。岩手県の特性から考えると、馬に対する理解が高い地域なのでは!と思います。 岩手では馬のセリがまだ行われていたり、チャグチャグ馬っこというお祭りもありますし、競馬場もふたつあります。暮らしや文化の中にゆるやかではありますが、馬との接点があるように思えますのでね。 ![]() ■ 馬の魅力はなんですか? 思い通りに行かない所ですかね。 思い通りにいかないので、自分を変えたり自分を改革していかなければならないんですね。なので、少しでも思い通りになると本当に嬉しいです。 ![]() とくに共同作業をする上で、難しい要求や初めてのことを要求するときに思い通りにいかないんです。彼らから信頼を得ていること、彼らとの間に安心の関係が育めていること、そうしたことがあって初めて要求を聞いてもらえるんですね。 また彼らは新しい事にチャレンジする事が嫌いなんです。昨日と同じ今日を過ごしたい。変化の無い毎日を過ごしたい。彼らの幸せはリラックスですから、変化に富んだ刺激的なことや、新しいチャレンジの連続というのは実は苦手なんですね。でまた、嫌なことからは全速力で逃げる......これが草食動物の習性ですよね。 ですから、初めてのことにチャレンジしてもらうとか、繊細な動きを要求する時なんかは100%最初は上手く行かないですよね(笑)だから、どうしたら不安をとって上げられるか、前に進む勇気を与えて上げられるかを考えるんですよね。 すべては私たち次第です。同じ馬でも、調教師によって馬のパフォーマンスが変わり、騎手によって成績も変わるように、誰が関わるかによってすごく違いますね。 馬との関わりやコミュニケーションを通じて、リーダーシップをすごく学びます。ちなみに犬や猫は身体が軽いので、私たちは容易に持ち上げることができますが、馬はとても体が大きいので、私たちの力だけじゃなんとも出来ないんですね。つまり、私たちは彼らを動かす(移動させる)ことすら出来ないんです。 彼らに動いてもらうためには、彼らの自主性に委ねるしかない。そのためには彼らに敬意を払う関わり方をし、一貫した姿勢でシンプルなコミュニケーションを交わす。そして環境を整え、あとは信じて待つことを教わります。思い通りにならない事がいっぱいあるけれども、お互い折り合いをつけながら「ホースマンシップ(馬人としての在り方)」をひたすら磨いていくんです。 もちろんこれは人間社会でも活かせますし、相手と折り合いをつける事が上手なったり、コミュニケーション力が磨かれていくんです。 ですから、子供達の教育やリーダーシップを育むところで馬の出番を作っていきたいなと思います。例えば学校授業への導入や、幼稚園児がお散歩がてら牧場に来たりとか......沢山の子供に小さい安全な馬からでも触れ合う体験を増やせていければと思っています。 ![]() ■ どんな人生にしたいですか? まだ小さい牧場なのですが、今後拡大していって自己実現をしたいという人たちが集まってくる場にしたいです。地域貢献や馬の文化も広げたいとも思っているのですが、自己実現が出来るという牧場にしたいです。 それは馬を介在させる方法と、馬が介在しない方法で考えています。私は一方でコーチングの仕事もしていますが、コーチングは馬の調教と共通している部分が沢山あるんですね。 コーチングを学ぶ中で、「これは馬たちのトレーニングの中で、ずっと心がけてやっていた事だ」と思えたとき、さらに楽しく学べました。誰かを上手く行かせる(目標到達させる)ための自分の関わり方をさらに探究できました。 ■ 働く上で大切にしている事はありますか? いくつかあるのですが、最近意識しているのは自分の中で65歳になった自分を思い浮かべています。イメージする65歳の自分と今の自分が常に交信していて、成功している65歳の自分だったらこんな時何て言うかな??というコミュニケーションをしています。 自分の理想の在り方のイメージがあるので、今どうすべきかを決定する時にとてもいい判断が出来るような気がしています。 その自分とは、パッションに満ち溢れ(顔にはシワがあっても、気持ちにはシワがなく)、世代を越えて、種を越えて色々なものと対等にコミュニケーションが交わせる人です。「さー、今日は何する?」という感じで、動物やちびっ子達と元気に走り回っていたいですね。 自分が子供に元気を与え、子供達から元気を貰い、次の日が来るのが待ち遠しくて寝てしまうのがもったいないな~と思っているような、そんなおばちゃんになっていたいですね。いつも、はしゃいでいたいですね。
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