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【156号】願叶杉(願いを叶える杉)

2010年2月16日 10:09

2年前に、日光東照宮に行った時のことです。


小学生の時に修学旅行で行って以来でしたが、見るものすべてが新鮮で、さらに日光では数年ぶりという雪景色だったこともあり、とても荘厳な雰囲気の中で、神聖な気持ちになりました。
日光は素晴らしい。
世界遺産に登録されたこともあり、日本人より外国人のほうが多いのでは?と思えるほど外国の方が多く参拝していました。


日光東照宮の社殿も素晴らしいし、三猿(見ざる・聞かざる・言わざる)、眠り猫の彫り物、鳴龍(龍の顔の下で音を鳴らすと龍の鳴き声がする)もとても見ごたえがありました。
しかし何と言っても素晴らしいと思ったのは、201段の階段を登っていったところにある、徳川家康を祭っているお墓があるという「奥宮」というところです。


ここには朝廷から送られてきた公文書などを保管する宝物殿や拝殿などがある一番高いところにある建物です。
ここに行くまでの道のりが何とも言えずに素晴らしいと感じたのは私達だけではなかったはずです。
うっそうとしげる木立の中を、一段ずつ階段を上っていくというこの道のり。日光東照宮の中でもダントツに気のいい場所であろうと感じました。


この拝殿をぐるっと一周すると裏側に、大きな杉の木が半分朽ちたようなものが立っていました。見るとそこには「願叶杉(がんじょうすぎ)」と書かれていました。
その杉にはこう書かれていました。


「この杉は願叶杉と言われています。この杉に願いを込めてお祈りすると願いが叶うと言われています」


この言葉が紙に書かれていて木のちょうど切れて中が見えているところに貼られており、そこにお賽銭がたくさん入っていました。


日光に来て、東照宮に来て、長い階段を上ってぐるっと周った最後のところにこのような杉がある。そこに「願いが叶う杉」がある。できすぎているけれど、お祈りせずにはいられなくなり木の幹のところにお賽銭を投げてお祈りしている自分がいました。
ネーミングもいいですし、一番高いところで家康公が祀られているところという環境から、「これは本当に願いを叶えてくれるにちがいない」と思える大きな杉でした。


この杉をそのままほっておいたら、おそらく単なる朽ちていく杉です。
しかし、願いが叶う杉とした途端に、それは神に変わります。


特に日本人は神秘的なものに対して敬服する習性(?)があります。
この杉を見た人はほぼ100%ここでお祈りをしてお賽銭を投げていました。


私はこの杉が由緒正しき杉なのか、後で誰かがこのように名づけたものなのかは知りません。でもそれはどうでもいいのです。確かに願いが叶った人が1人はいたはずです。ですからこのような名前がついているのです。そこにお祈りをする人が増えれば、さらに願いが叶う人が増えていくでしょう。ですからきっとこれからもこの杉は願叶杉として生き続けていくのです。
これこそが人の心を掴むストーリー性です。


単なる朽ちた杉なのか、それとも願いが叶う杉なのか。
人が大切に思う気持ちは確実に後者に芽生えるでしょう。自然を大切に思う気持ちが芽生えるだけでも、この杉の価値は大きいと言えるのです。


願叶杉というシンプルですが非常にたくさんの人に愛されているこの朽ちた杉を見て、価値の作り方を私は知ると同時に、このようにしてモノを大切にすることは必要だ実感しました。


記憶に残る一本の木でした。同時にとても勉強になった一本の木でした。


(岩崎)

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