中国の上海万博の開催が近づいてきました。ニュースでも上海万博についての話題が出始めてきました。私が2008年に上海に行った時に、私は上海で生活している人々の活気とパワーに圧倒されたことを今も鮮明に覚えています。上海パワーから情熱の「赤い炎」を体感しました。
その源には一体何があるのか。上海パワーの生まれた背景から情熱の源泉を考えてみたいと思います。
1.中国は成長率が高い
これは誰もが知っている事実ですが、中国は成長性が高い国です。特に経済指標の代表格であるGDPは現在20兆元を超え、(※1元=15円;300兆円)今では世界三位、そして日本を抜いて世界第二位のGDPとなりそうです。人口も全土で13億人いて、一人っ子政策を進めてはいますが人口は今も伸びています。
地区別に見てもGDPは伸び続けており、今も2桁成長を続けている州がいくつもあります。上海や北京などの大都市は伸び率が鈍化していますが、それでも年間4~5%程度の成長率がある都市です。日本は年間で1%伸びるかどうかという状態なのですから、この伸び率が非常に高いものであることが分かるでしょう。
2.中国の成長を支えるものとは
これは上海生まれ・上海育ちで日本にも7~8年の留学経験があり、現在は上海市内で会社を創業しているSさんから上海パワーについて話を伺いました。
- 上海人は新しいモノが好き
- 上海人は高い技術を持った国や人を尊敬している
- 例えば車であれば、アメリカ、ドイツ、日本などの国には敬意を表している部分がある。最近ではBMWよりもトヨタのレクサスが人気。お金を持っている人はBMWやベンツなども買えるが、レクサスのハイブリッド車のフル装備で1500万円~2000万円するが非常によく売れている
- 上海は不動産価格も上昇している。以前と比べて上昇率は落ち着いてきているが、まだ上がっている。
- 同氏の購入したマンションは上海の虹橋(国内線の空港がある場所で日本人駐在員が5万人くらいは住んでいるところ)にある。2001年ごろに50万元(100㎡;750万円)で購入。今はそれが200万元(3000万円)と4倍に跳ね上がっている。
- 虹橋周辺も開発が進んでおり、近辺には600~700万元(約1億円)程度のマンションもできているが、すでに完売している。1㎡=3万元(45万円)くらいのマンションがどんどんできているのが上海の今の実態。
- また投資も積極的であり、海外不動産への投資も進んできている。特に日本に手ごろなマンションなどを購入する人も多い。
- 上海戸籍をとるのは非常に難しく、また一つのステイタスでもある
- 中国はとても排他的。団体戦に弱い。お互いが協力する、相手を助けるという感覚はあまりない。それよりも、自分が一番、自分の実力を認めてほしいという利己主義な面が強い。これは中国文化大革命の影響が大きい。中国人の価値観を変えたのが文化大革命。ここからますます自分が一番、自分の生活を守る、自分が上に行くという意識が強まったように思う。
- したがって中国は一体感に欠ける面がある。この点は日本を見習いたいと考えている。
以上のような内容でした。
日本と上海をよく知るSさんならではの視点で、とても参考になる話でした。他にも上海市内で会社経営をしている上海人、上海の日本企業の総経理(社長)の方々とたくさんお会いしてきましたが、多くは同じような意見でした。
街にもできる限り時間をさいて出かけてきました。
3.上海人には物欲がある
南京路、准海路、新天地、豫園、浦東、外灘(バンド)、虹橋。自分の足で歩いてみて分かったこと。それは、上海人は「物欲がある」ということです。これは今の日本と決定的にちがいます。
新しくできた浦東のショッピングセンターにも行きました。朝10時の開店からお客さんが引きを切らない状態です。バーゲンではないのにバーゲン会場のような光景を見て、この消費欲が日本とは決定的にちがうのだと思いました。
上海が日本で言う東京のような街だとすれば、上海に集まってくる人々は上海で一旗あげようと考えています。そしてできれば上海で成功して、田舎のパパ・ママに仕送りしたり、モノを買ってあげたいと思っています。1980年代前半までは人民服を着たり、糧票というものが各家庭に配られて、それとの引き換えで食料や飲料と引き換えられていたのです。
それがこの20年であっという間に世界最先端の国の一つに変わりました。その変化は日本の戦後~高度成長期以上のものがあるでしょう。しかも給料は毎年17%程度伸びており、2008年だけでも最低賃金改定が2回もあったそうです。
ですからお金が入ったら何かを買いたいのです。モノを買っていい暮らしをしたい、親にいい暮らしをさせたいという思いが働く意欲につながっているのです。ですから上海の人々は残業も朝早くからの仕事も厭わず、もっと言えば土日でもよく働きます。よく働いて、よくお金を使うのです。
これが上海パワーの源です。
いい暮らしをするために、上海人、ひいては中国人はよく働くわけです。今の日本とはまったくちがいます。
4.日本に必要なもの
中国と比較すると、日本の社会は満たされすぎていると感じました。めちゃめちゃがんばらなくても適度に暮らせる社会です。その意味では安定した成熟社会です。いい社会なのでしょうが、その一方で活力が削がれます。活力がないと街にもパワーがなくなります。パワーがなくなると、成長力が低下します。これが今の日本なのではないでしょうか。
上海に行くと日本のパワーの物足りなさに気づきます。この物欲が中国の持つ情熱の源泉であることはまちがいありません。しかし日本は上海のような、中国のような成長曲線は描けませんし、すでに社会がちがっています。物欲を刺激して、情熱を燃やす環境を作りたくてもなかなか難しい面があります。
日本では中国のような「モノを買いたい」という思いが強くないわけです。一方で、「コト」に対しては強い欲求があります。いわゆる「モノからコト」、「物欲から体験・経験欲」への変化です。
「もっと素敵な体験をしたい。ココロに残る経験をしたい。誰も行ったことがないところに旅行に行きたい、まだ見たことがないものを買いたい、知らないことを勉強してみたい」と思っています。この「経験欲求・体験欲求」を満たすように企業が努力していけば、日本人の熱い思いを呼び起こすことができるかもしれません。
日本の企業はモノを中心とした量的な成長ではなく、コトを中心とした質的な成長をめざさなければならないと実感しました。特にモノを売る企業はより「コト」に対応した経営に切り替えなければモノを売ることは難しいでしょう。
日本の企業はまったく新しい戦略を考えなければならない時代なのです。
しかし、状況は変わろうとも、消費者のココロを震わせるような提案が求められています。ココロを震わせる提案。これこそが情熱経営の源です。お客様のココロを震わせる経営に全力をあげて取り組みましょう。情熱は企業を変える力を持っているのです。
(岩崎)
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